●みなとや
新得は十勝平野の北の端っこにある。
国道38号をひた走り、新得あたりに差し掛かるこのあたりは「そばロード」と名前がついているが、その名の通り道の両側は蕎麦畑。
そう、新得は北海道有数の蕎麦の産地なのである。
9月中に大体蕎麦は刈り終わってしまうので、今まさに畑の最後の蕎麦を刈り取ろうというコンバインも見える。
新蕎麦の収穫が今終了するのです。
蕎麦の花の季節に訪れると美しいと人は言うが、ちゃう。食えなきゃ意味がない。
さて、新得の町にて、JR新得駅前の道を東へしばらく行くと、左手に「みなとや」の看板が見えてくる。
北海道特有の広い路肩にずらりと、道内各所からやってきた車が並んでいる。
どれ、栃木ナンバーもそこに加えてもらおうか。
店内は結構奥に向かって広い。
雰囲気としては普通の田舎の蕎麦屋であるが、トイレに行く途中の、奥のほうにあるずらりと並んだ色紙が、この店をなめちゃいかん、と主張する。
調理場からは活気があふれていて、元気の良いおばちゃんが迎えてくれた。なんか大勢働いている。
「あ、せいろ、おねがいします」
値段は550円だからかなり安いです。天ぷら蕎麦なんかを他の客はせっかくだから、ということで頼んでいる、が、私はこの後予定が・・もうちょっと回るんだ腹の余裕を残しておかなければ。
私としては、東京の名店もりな、ちまーっとしたやつを想像していた。
しかし出てきたのは、見事な盛りのせいろ。大盛りだとどうなったんだろう?
これはちゃんとこれだけで食事になるのです。
色黒の(写真はフラッシュで光ってますが、黒いんです)、のしべらの力強そうな田舎蕎麦。
箸で持ち上げると、ふわっと新蕎麦の鮮烈な香りが漂ってきた。
ああっ、新得まで来て良かった。
薄めの汁につけてずるっとやるとこれが滑らかで、しかもほどよい粘りとコシがあってうまいんです。
ご主人、良い仕事してますねぇ。
良い仕事に、良い材料。
水も旨いし、当然蕎麦粉も旨い。
納得な一枚でした。
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